死について考えるのはまだ早いだろうか?

僕は今 柳田邦男さんの ・・・
 《「死の医学」への日記》 という本を読んでいます。
 まだ190ページほどですが ・・・
 どうやらこの本は ・・・
 末期のガンを宣告された患者とか ・・・
 死がもう眼前に迫った人々にたいする ・・・
 心のケアをもっと研究すべきだと言っているようです。
 医師は ・・・
 まず最初に患者を「治す」ことを考えます。
 しかしその患者がもう生きられないと分かると ・・・
 途端にその患者を避けるようになるそうです。
 もっとも ・・・
 患者の痛みを少しでも和らげるような処置とか ・・・
 少しでも長生きさせるような計らいはします。
 それは医師の使命であり ・・・
 それが医療というものでしょうが ・・・
 しかし患者が何を考え ・・・
 残された時間をどう生きればいいのかなど ・・・
 患者の心の問題にまでは関与しないのだそうです。
 患者にしてみれば ・・・
 多くの不安をかかえ ・・・
 自分についての詳しいデータも分からず ・・・
 ただ苦しいだけ情けないだけ ・・・
 中には精神まで凍らせてしまう者もいるでしょう。
 そんな患者の心の中まで踏み込めず ・・・
 医師は ・・・
 どちらかと言えば ・・・
 患者にたいしてはひどく冷淡になる場合が多いそうです。
 さてもし自分が「死ぬ」と言われたら ・・・
 人はまず大きなショックを受け ・・・
 精神的には ・・・
 とても普通には生きられないだろうと思います。
 そんな患者の ・・・
 心を平安にしてあげられるようにと ・・・
 インフォームド・コンセントとか ・・・
 QOLをもっと考えてあげようと ・・・
 そんな計画を実践に移してきた ・・・
 多くの医師や看護婦や知識人などの動きを ・・・
 色々な例を挙げながら ・・・
 書き綴っているのがこの本なのです。
 インフォームド・コンセントとは ・・・
 医師が患者にたいして ・・・
 その病気や今後のあり方について ・・・
 充分に説明し納得させることのようです。
 患者はそれにより死への心の準備に入るのです。
 また「QOL」とは ・・・
 「クオリティー・オブ・ライフ」のことで ・・・
 「生命・生活の質」のことであり ・・・
 それこそまさに死なんとしている患者たちの ・・・
 生命や生活の質をポジティブなものへと ・・・
 向上させてゆくための働きかけのようなものです。
 「生」にたいする考え方や行動(医療)は ・・・
 どんどんと発達して改良されているけど ・・・
 「死」にたいする考え方や行動(医療)は ・・・
 とくに若い医師たちにとっては ・・・
 それほど身を入れて考える価値を見出せないし ・・・
 「分かりにくい」という部分も多くあって ・・・
 手を出せないというのが一般的だと思います。
 死んで行く患者にこそ ・・・
 明るい希望を与えて ・・・
 おだやかな精神で死なせてやれるという ・・・
 そんな医学のことを「死の医学」というのです。
 「死の医学」が問題になって来たのは ・・・
 まだたかだか20年ほど前のことであり ・・・
 その分野の研究がなされていないのは寒いことです。
 しかもこれからはますます老人が多くなり ・・・
 誰もが「自分の死」を考えなければならない ・・・
 そんな状況に追い込まれるのは必至です。
 自分が死ぬまでにどう生きるのか?
 思い残すことなく死ねるためにはどうすればいいのか?
 死の恐怖とどう向かい合うべきなのか?
 この本は ・・・
 そのような大きな問題にたいして ・・・
 何かの回答を与えてくれるのではないかと ・・・
 そんな期待も含めて ・・・
 ちょっと難しいけど僕は読んでいます。
 難しいと言っても ・・・
 専門的で難しいというのではなくて ・・・
 未知の(まだ死を迎えていない)世界のことで ・・・
 どう解釈すればいいのかという難しさです。
 誰でも迎えなければならない死について ・・・
 それを明るい気持ちで迎えられるために ・・・
 あと280ページほどを ・・・
 読み進めてゆきたいと思っています。